朝八時。目覚めると自分が二日酔いであることに気づく。
「ああ、そうか、昨日は5時くらいまで飲んでたんだっけ…」そう心の中でつぶやきながらコップ一杯の水を飲む。喉を駆け抜け、からっぽの胃に滴る感覚が心地よい。
熱いシャワーを浴び、十二時までに完成させなければならないプレゼンに取り掛かる。もちろん何も準備はしていない。後悔もない。時間はある。濃いめのコーヒーは二度寝への欲求に鞭を打つ。
窓の外を見ると、昨晩から降りしきっていた雨は、完成を祝うかのように雲一つない青空に変わっていた。登校時、イヤホンから流れるレゲトンの刺激は、生の芸術に即興というスパイスを与える手助けをしてくれる。
授業が終わるとそのままカフェへ。翌日のインターンの準備をしなければならない。生徒たちの期末試験を採点している時、ふと自身の経験を振り返った。彼らから和西辞書にない単語の定義を問われたとき、それをどのように説明するか。そこには一教師として、また母語話者としての責任が伴う。じっくりとその単語の意味を再考するとき、私はいつも日本語という言語の曖昧さと、また、素晴らしさに気づかされる。
帰宅後三時間ほど仮眠をとり、友人宅へ向かう。今日は木曜日、フィエスタ(パーティ)の日である。アルコールは人を饒舌にする。肴はスラング。会話力を上げるのならこれが最も近道だろう。ビールとロンを空け、皆でクラブへ。再びボトルを注文し、飲み、踊る。メキシコ女性の熱さに飲み込まれそうになる。
窓から差し込む陽の光が新たな一日の訪れを知らせる。
週末は試合だ。友達の友達の紹介、その友達の紹介…キーパー需要は高い。気づいたら四チームに参加していた。彼らのサッカーは熱く、荒い。点が入ると皆で雄叫びをあげ、審判が誤った判定を下すとベンチからも容赦なく罵詈雑言が浴びせられる。彼らが試合中に口を休ませることはない。その感情をむき出しにした荒々しいプレーに、中南米サッカーの魂を感じた。
目まぐるしい留学生活だった。帰国を一週間後に控え、着いたのがつい先日だったように感じる。美しい時間は、まるで砂浜に綴られた愛の言葉のように、あっという間に流れていった。留学生、現地の大学生、高校の生徒たち、社会人の方々、出会ったすべての人々に感謝している。必ず戻ってきたいと思わせる国、メキシコを留学先に選んで本当に良かったと感じる。
松本 幹久
おわりに
今回で四回による留学体験記は終了です。ご拝読ありがとうございました。
四回一同、また皆様に日本でお会いすることを楽しみにしております。
「ああ、そうか、昨日は5時くらいまで飲んでたんだっけ…」そう心の中でつぶやきながらコップ一杯の水を飲む。喉を駆け抜け、からっぽの胃に滴る感覚が心地よい。
熱いシャワーを浴び、十二時までに完成させなければならないプレゼンに取り掛かる。もちろん何も準備はしていない。後悔もない。時間はある。濃いめのコーヒーは二度寝への欲求に鞭を打つ。
窓の外を見ると、昨晩から降りしきっていた雨は、完成を祝うかのように雲一つない青空に変わっていた。登校時、イヤホンから流れるレゲトンの刺激は、生の芸術に即興というスパイスを与える手助けをしてくれる。
授業が終わるとそのままカフェへ。翌日のインターンの準備をしなければならない。生徒たちの期末試験を採点している時、ふと自身の経験を振り返った。彼らから和西辞書にない単語の定義を問われたとき、それをどのように説明するか。そこには一教師として、また母語話者としての責任が伴う。じっくりとその単語の意味を再考するとき、私はいつも日本語という言語の曖昧さと、また、素晴らしさに気づかされる。
帰宅後三時間ほど仮眠をとり、友人宅へ向かう。今日は木曜日、フィエスタ(パーティ)の日である。アルコールは人を饒舌にする。肴はスラング。会話力を上げるのならこれが最も近道だろう。ビールとロンを空け、皆でクラブへ。再びボトルを注文し、飲み、踊る。メキシコ女性の熱さに飲み込まれそうになる。
窓から差し込む陽の光が新たな一日の訪れを知らせる。
週末は試合だ。友達の友達の紹介、その友達の紹介…キーパー需要は高い。気づいたら四チームに参加していた。彼らのサッカーは熱く、荒い。点が入ると皆で雄叫びをあげ、審判が誤った判定を下すとベンチからも容赦なく罵詈雑言が浴びせられる。彼らが試合中に口を休ませることはない。その感情をむき出しにした荒々しいプレーに、中南米サッカーの魂を感じた。
目まぐるしい留学生活だった。帰国を一週間後に控え、着いたのがつい先日だったように感じる。美しい時間は、まるで砂浜に綴られた愛の言葉のように、あっという間に流れていった。留学生、現地の大学生、高校の生徒たち、社会人の方々、出会ったすべての人々に感謝している。必ず戻ってきたいと思わせる国、メキシコを留学先に選んで本当に良かったと感じる。
松本 幹久
おわりに
今回で四回による留学体験記は終了です。ご拝読ありがとうございました。
四回一同、また皆様に日本でお会いすることを楽しみにしております。